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『サラバ!』西加奈子 ~あらすじ①~ 人生に揺れているあなたへ!

人生に揺れているあなたへ!

サラバ!西加奈子 上下巻

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西加奈子さんの直木賞受賞作ですね! テーマは、

 

“自分の信じるものを誰かに決めさせるな”

 

人生について考えている人に是非読んで頂きたいです。

 

【あらすじ】~私の見解も含まれています~

主人公の歩(あゆむ)は、イランのテヘランで生まれ、大阪で幼児期までを過ごし、父の転勤により幼少期をエジプトのカイロで過ごし、以降は再び日本で生活します。かなり、珍しい経歴ですよね。

 

容姿の美しい母と、父に似たためあまり女性らしくない…う~ん、可愛いとはとてもじゃないけれど言い難い外見の姉との険悪な関係の間に挟まれるようにして育って来ました。姉は、常に母と比べられてしまう自分の外見がコンプレックスでした。

 

そんなコンプレックスのせいもあってか、姉は幼い頃から“自分を見て欲しい”という一心で数々の奇行を繰り返し、乱暴で、自分の存在価値をアピールすることに余念がありませんでした。 (家中にある植木鉢の土を食べる、母のルージュで壁中に絵を書く、傘を挿して上の階から飛び降りる、部屋に閉じこもり部屋中に巻貝の絵を掘る、など)その姿には狂気性を感じざるを得ません(笑)

 

そんな自己主張の強過ぎる姉に対して、歩はとにかく嫌悪恐怖を抱きます。また、母親も中々気の強い女性なので、ぶつかり合う姉と母の姿をみて、幼い頃から“女”という異性に対しての失望?不信感?のような感情を持っています。

 

家庭内において、歩は常に“いい子”で居なければならず(それが自分の生きていく術だと思っていた)、“いい子”で居ることを選んだのは歩が聡明であるが故なんだろうな、と個人的には思いました。

 

美しい母に似て、歩は外見が良く、“いい子”で空気も読めるので皆から愛されます(たまに、何を考えているか分からない、自分の意見が無い、などと言われつつも)反対に、姉は周囲の人をあの手この手で困らせ、不快にさせるので嫌われまくります。

 

大阪の幼稚園時代でも、カイロの小学生時代でも、日本での中・高校時代も、その容姿と、空気を読み上手に周囲に溶け込む力で人気者の地位を確立しました。クラスに居ましたよね。いわゆる、“イケてる”男子グループに属している人。その中でも歩は、お笑い系の御調子者タイプでも、いかついお山の大将タイプでもなく、自己表現は控えめで、少し大人な印象の好青年タイプでした。どんなことも割かし器用にやってのけてしまう系男子でした。(反対に姉は、相変わらず奇行を繰り返したり、自己主張が強すぎたり(また、自己表現の仕方が奇妙)と、クラスメイトから“イタイ奴”と見なされ、とことん嫌われいじめの対象になります。)

 

まあ、だから、女性に困ることはなく、人並み以上に恋愛も経験してきました。でも、歩にとって“女”は、性の対象である面が強く、“信頼”みたいなものを預ける対象にはあまり無かったのかな、と思います。女性には心を開けない印象でした。また、リスペクトが女性に向く事もあまり無かったように思います。(男尊女卑思考だったという訳ではなく、あくまで、歩にとってそういう意味で魅力的な女性が周りに居なかったということだと思います。)

 

続きます。