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本は確実に人生を豊かにする!読書が好きな著者が、日々読んだ本を紹介していきます。この中に、あなたの人生を変える一冊があるかも...?

『言ってはいけないー残酷すぎる真実ー』 〇〇な人は絶対読んじゃダメ!

〇〇な人は、絶対読んじゃダメ!

言ってはいけないー残酷すぎる真実ー橘 玲 

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昨年の夏頃だったでしょうか、大変話題になっていた本ですね。タイトルが印象的だったので、手に取って目次をざっと読み、『あぁ、この本は私には多分必要ないだろうな。』と直感で思った記憶があります。でも、刺激物を体に流し込みたい、みたいな、そういう欲求が出てきちゃって思わず買ってしまいした。

 

一言、あまりオススメしません。やっぱり私には、必要のない本でした。

 

オススメしない理由①:読んでも意味は無いから

オススメしない理由②:ただ刺激ばかり受けて終わるから

 

オススメしない理由①:読んでも意味は無いから

読んでも意味は無いです。なんでかって、新書をチェックし、気になって購入する人にとって、この本は即効性が皆無だからです。

 

この本では、遺伝、見た目、教育に関わる、すでにみんなが分かりきっていること(例外はあります)を、科学的根拠の下で説明しています。数値という目に見える明確な裏付けを用いて説明しているんです。(学者の研究結果を見る分には、割と『へ~』って感じで、ひまつぶしにはなりそうではあります。あとちょっとしたおしゃべりのネタにもなりそうです。)

 

例えば、“努力は遺伝に勝てない” ということ。簡単に説明すると、人間の知能レベルや運動能力は、遺伝による要素がほとんどである、つまり、努力したところで、個人個人の能力の限界は決まっている、ということです。医者の子供は医者になる、というようなことは明確なエビデンスがある、ということです。

 

特に日本社会は、“努力至上主義”ですよね。幼い頃から、努力することは美徳であるという思想を、大人たちに植え付けられます。ちなみに、私もその一人です。大学一年生頃までは、私も完全努力至上主義でした。でも私達は、様々な挫折を、大人になってからいきなり味わう訳ではありません。もっと幼い時、早い人なら幼稚園児の時既に、人間には優劣があるのだと薄々感づき始めます。

 

つまり、私達にとって、その真実は “既に重々わかりきっていること” なのです。ただ、社会が、勝手にそれを口にすることをタブーとしているだけなのです。当然、『自分はバカだから努力しても意味がない』、なんていう思考の人より、『天才には及ばなくとも、努力すればきっと報われるし、努力をした事実はきっと無駄にはならない』と考える人の方が、日本の道徳的美しさという点でみたら勝っているとは思います。

 

でも確かに、この本が言わんとすることのように、努力をすることは美徳だ、という概念を押し付ける、というのは結構残酷なことです。頑張ってもどうにもならない人はなりません。だって、正しい努力の仕方を、自分で見い出すことが出来ないのと、それが分かっても能力自体が追い付かないから。

 

努力することを押し付けることは、逆に差別だ、というような言い分も理解できます。努力して成果を出せる人間だけがそのメリットを得られる、という状況を作り出すから。成功のために努力する権利は皆にある、と平等を謳っているようで、努力至上主義(資本主義とも少し似ている)は知識社会の中では格差を生みます。頑張ってもどうにもならない人はならないのに、社会から努力することを求められるのです。努力することは美しいらしいのです。すべては遺伝で決まっているのに。

 

この本のミソは、社会に対する問題提起だと思います。

 “努力は遺伝に勝てない”

“美人はブスより得である(金額で表わすなら、生涯で3600万円も!)”

“教育や子育ては子供の成長にさほど関係しない”

“犯罪者は遺伝子レベルでの共通点がある”  

うつ病は遺伝する”

これらの、皆が薄々感じている(分かりきっている)、社会のタブーを直視し、その上で、社会をひっくり返してみなければならないんじゃないかっていうことなんじゃないかと思います。つまり、従来とは全く違ったアプローチをしていかなければならない、ということです。(ただ、“レイプは進化の過程でしょうがないことである”のような記述もあるため、全てが周知の事実ではないが)

 

しかし、納得し得る部分がありつつも、やっぱり無意味な問題提起だなって思いました。だって人間は、今のままで十分幸せだからです。というか、お金があっても無くても、頭が良くても悪くても、美人でもブスでも、幸せになる才能が人間にはあるからです。生ぬるい幸せを手に入れる才能は、誰にでもあるのです。少なくとも、ここ日本では、この世界の不条理に嘆きつつも、なぜ、そして如何に不条理か、ということを命を懸けて訴える人はほとんど居ないのです。不条理に耐えられなくなった人の中で、自殺する人も居ます。精神を患ってしまう人も居ます。でも、そういう悲劇はしばらく経つと、やがて日常の中に溶けていきます。

 

こんなに生ぬるく、平和な日本では、こんな問題提起は無意味です。この本を手にとった誰が、世界を本気で嘆くでしょうか。世界はある見方をすれば狂っていますが、現時点では未だ正常です。教育者や、政府が並べる綺麗ごとを信じ、若者がいつでも安心して過ごせる世の中です。(実際はゆっくり安寧は崩れていると思うんですがね。)そんな正常な世の中で、これらのタブーを元にアイディアを打ち出したところで、誰が賛同するのでしょう。ちょっと頭のおかしな人だと思われかねません。この本は、未だこの世界には無意味です。こんにち、おぎゃ~と生まれた赤ちゃんが、よぼよぼの老人になっても、まだ意味は成さないと思います。つまり、この本に即効性はありません。この本を読んだからと言って、特に感銘を受けることはありませんし、今後役立つわけではありません。そういう意味では、読んでも無意味です。

 

オススメしない理由②:ただ刺激ばかり受けて終わるから

この本を読み終えて、ほとんどの人が受け取ったものは、“刺激”くらいしかなかったと思います。『ほんとかどうか実際はわからないけれど、とりあえず刺激的だったなあ』ってだけだと思います。もしかすると、不愉快な内容に苛立った人も居るかもしれません。

 

この本のミソは、社会への問題提起だと前述しましたが、あくまでそれは私の見解です。残酷な真実を並べるだけ並べて、あとは読み手に放り投げてる感がとっても強いです。なので『なんか凄いこといっぱい書いてたわ』とか『ちょっと頭おかしいわ』とか『ちょっと笑っちゃうわ』みたいな感想になるんだと思います。現代社会で、口にすることがタブーとされていることを使って世界を変えていくことの必要性と、その使用方法まで書いてくれたら面白かったのになって思いました。一瞬馬鹿だろって思えるアイディアでも、画期的且つ論理的であれば絶対ウケると思います。

 

 

言ってはいけないー残酷すぎる真実ー橘 玲

の感想でした!好奇心だけで読みたくなっちゃった人は、絶対読んじゃダメ!後悔しますよ~!

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