好き!!好き!!Books

本は確実に人生を豊かにする!読書が好きな著者が、日々読んだ本を紹介していきます。この中に、あなたの人生を変える一冊があるかも...?

『コンビニ人間』~あらすじ~私も〇〇人間になりたい!

私も〇〇人間になりたい!

コンビニ人間村田沙耶香

f:id:thebookchang:20171230072349j:plain

村田沙耶香さんの、2016年の芥川賞受賞作『コンビニ人間』。“コンビニ”って、親しみがある響きなのに、どこか面白い響きでもありますよね。“コンビニ=底辺”なんて言う人も居たりするのに、コンビニが無いと皆困ってしまう。これは、36歳独身で、結婚はおろか恋愛歴も無し、社会経験はコンビニのアルバイトのみ、という女性がコンビニを通して生き方を模索していくお話です。

 

【あらすじ】~私の見解も含まれています~

大学卒業後も就職せず、18年間コンビニのアルバイトを続けている、“古倉 恵子”は、36歳となった現在でも未婚で、結婚はおろか恋愛をしたこともありませんでした。

 

恵子は幼い頃から変わった子でした。公園で亡くなっている小鳥を見つけた時、彼女が発した言葉は、“可哀相”でも、“悲しい”でもなく、“家に持って帰って食べよう。焼き鳥が好きなお父さんが喜ぶから。”でした。他にも、喧嘩している男の子達を止めようと、片方の男の子をスコップで殴って気絶させるなど、周りにとっては理解不能な言動や行動をするのでした。彼女にとっては、合理的な判断でやったことも、普通の人からすると倫理的観点からみて明らかにおかしいことだったのです。つまり、恵子は普通”の子ではありませんでした。他人の目(虐待されているのではないかという疑いなど)、親の心配(家の子はどうしたら正常になるの?)などから、彼女は、家の外では無口になり、物議を醸すような言動・行動をするのを抑えるようになりました。

 

誰にも理解されることなく、孤独だった恵子ですが、大学在学中にコンビニでアルバイトを始めたことで、そこで生まれて初めて、自分が世界の“部品になれているという実感を得ます。コンビニではマニュアル通りに、つまり目的のために合理的に動けばよいので、自分の意思が無い彼女にとってはとても居心地が良い場所でした。“普通であること”が分からない彼女にとっては、コンビニは複雑でない、シンプルな場所でした。コンビニの店員でいる限り、そこでは彼女は必要とされることが出来ていたのです。

 

恵子は、普通の30代女性で居るために、同僚のファッションや喋り方を真似します。会話においても、“理解出来ないことがあればとりあえず同調をする”というスタンスで居たので、浮く事なく馴染むことが出来ていました。でも、どれだけ工夫をしてみても、彼女らの“気持ち”や“感情”には共感する事ができませんでした。彼女らが、なぜ他人に怒りを覚えたり、悪口を言ったりするのか、恵子には理解出来ませんでした。恵子は、“普通”で居る為に努めていましたが、やはりなれては居ませんでした。

 

それでも、日々、コンビニで良いパフォーマンスをするために、食事をして栄養をとり、十分な睡眠をとることで体調管理を行い、コンビニ店員として清潔な印象を保つために身なりも整える、という、全てをコンビニにささげるという生活は、彼女にとっては非常に充実したものでした耳を澄ませば、コンビニの音(飲み物のドアを開ける音など)が聴こえ、いつでも彼女を満たしてくれるのでした

 

しかし、ある時、“白羽”という新人が入って来た(婚活目的で)ことで、そんな彼女の日常は一遍することになります。彼は、彼女に言います。“そんな生き方をしていて恥ずかしくないのか”と―――――。

 

続きは本編で!次回は感想です!